事業目的

[研究交流目標]

アフリカ、特にケニアを核とする東アフリカでは豊富な労働力と地下資源を背景に経済も成長し、欧州や中東への一次産品の供給地としてだけではなく、将来の巨大市場としても注目されている。食へのニーズも、かつてのような飢餓を脱するための単なる量的拡大ではなく、生活水準の改善に向けた質的向上と多様性に目が向けられつつある。しかし、東アフリカ耕作地の多くは乾燥地帯、酸性土壌地帯を含み、不適な栽培技術による病害多発、肥料枯渇などが作物増収の大きな障壁となっており、イネなど主要穀類を輸入に頼っているのが現状である。ここ最近顕在化する地球環境の変動も作物の安定供給に追い討ちをかけており、フードセキュリティの観点からも次世代型対応型の作物開発は東アフリカの重要な研究課題の1つといえる。

【汎アフリカ大学・東アフリカ高等教育拠点PAU/JKUATにおける資源植物科学研究の展開】

上に述べた諸問題をかかえながらも成長を促すための学術的な方策として、アフリカ連合(AU)は、最近、汎アフリカ大学院大学(Pan African University, PAU)を立ち上げた。PAU構想ではアフリカを6地域に分け(次頁参照)、各所にアフリカに適合した科学技術を主導する大学院を設立し、2012年から順次開校している。PAUの中で、ケニア・ジョモケニアッタ農工大学(Jomo Kenyatta University of Agriculture and Technology, JKUAT)は、研究基盤や実績のある大学として東アフリカの高等教育拠点に公募で採択され、農学と工学に軸足を置いた基礎科学研究、イノベーション研究の大学院PAU/JKUATが2012年開学した。現在、アフリカ各地から70名の優秀な大学院生が集まっているが、実習など研究指導の基盤がまだ脆弱である.

このような状況を踏まえ、本申請プログラムでは、PAU/JKUATと連動しながら次世代作物開発に取組む「資源植物科学」研究拠点ネットワークを組織化し、育種、土壌、作物、園芸、応用微生物学分野での若手研究者育成と研究を3年間で進める。

【本プログラムの目標 -PAU/JKUATでの若手研究者育成と研究ネットワーク構築・イノベーション創出】

PAUの東アフリカ拠点となるJKUATは1980年代にJICA支援事業を基に設立され、国内トップレベルの大学に成長した経緯があり、日本との人的交流に長い歴史がある。本プログラムでは、この長い交流実績・人脈を活用しながら、岡山大学資源植物科学研究所が進める「植物遺伝資源・ストレス科学」研究を東アフリカで実践するための研究拠点を構築し、日本側研究者がPAU/JKUATと連携しながら若手を育成し、作物生産性向上に直結する系統選抜や生産技術開発に関する共同研究の実現を目標とする。この拠点を通じて新たな作物の開発利用のための研究を東アフリカで加速し、アフリカ型イノベーション実現へのロードマップを作成する。

[研究交流計画の概要]

①資源植物科学研究所(植物研)の次世代作物共同研究コア・国際的新展開グループ(後述)が統括し、PAU/JKUATの大学院生など若手を積極的に招へいし、植物研のストレス研究ユニットで共同研究を行う(各ユニット1名x3ヶ月/年度、年度毎5名以上)。ケニアとウガンダで植物ストレス耐性、収量増加や品質向上につながる次世代対応型作物を育成するために必要な「育種学」「植物栄養学」「植物生理学」「園芸利用学」「微生物利用学」を基盤とする資源植物科学の共同研究を行う。

②各年度に資源植物科学に関するワークショップを開催する(100人規模)。ケニアではH26,28年度に開催し、周辺国の関係研究者も招待して交流を東アフリカに拡大する。日本では27年度に開催し、植物ストレス科学研究ネットワークと連動して交流を進める。毎年10月に岡山大学で「ケニアデー」を開催し、若手中心の研究交流・討論会で国際交流を定例化する。

③PAU/JKUATでの集中講義形式による大学院生指導を日本側研究者が中心に行い(年数回)、上記①と連動した人材育成を目指す。JKUATだけでなく、ケニア農業研究所やウガンダのマケレレ大学・ウガンダ農業研究所とも交流を行い、ネットワークを拡げて東アフリカ作物生産の問題解決に取組む。28年度には関係研究者による成果報告会を行って継続的な交流を進めていく。

 

[実施体制概念図]

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