Jane さんの活動報告

2月1日に来日したJane Wamaitha Mwathiさんが岡山大学資源植物科学研究所・鈴木信弘教授のもとで行った研究内容について紹介します。

受け入れ期間:2月1日から3月30日までの2ヶ月間

Janeさんの研究紹介:

Foundation toward virocontrol of wheat head blight caused by the Fusarium graminearum species complex in Ethiopia

コムギはイネと同じ世界3大穀物の一つである。コムギ赤カビ病はFusarium graminiarum species complexにより引き起こされ、収量、品質に甚大な被害をもたらすだけではなく、残留マイコトキシンのリスクが懸念される恐ろしい植物病である。エチオピアを含む東アフリカでもその被害は大きく、環境負荷の小さい有効な防除法の開発が期待されている。一方、クリ胴枯病では、病原糸状菌をマイコウイルスの感染により病気にし、クリ胴枯病を防除するヴァイロコントール(ウイルスを用いた植物糸状菌病の防除)が成功している。これに触発され、果樹白紋羽病のヴァイロコントールの研究も日本で盛んに進められている(Ghabrial and Suzuki, 2009)。ヴァイロコントールの実施には、1)病原糸状菌の植物に対する病原力を衰退させるウイルスの発見、2)ウイルスの糸状菌への導入、3)さらに、病原力を衰退させたウイルス感染菌の処理法の開発、が必要となる。このヴァイロコントロールの優れた点は、環境負荷の低い防除法であり、予防・治療効果も期待できることである。ホスト研究室では、エチオピア人研究者のDOSHE博士と共同研究として、上記必要条件の1)、2)をクリアし、コムギ赤カビ病のヴァイロコントールの基盤を築くための課題を進めてきている。Jane Wamaitha Mwathiにはその一部を担当した。 既に、Abraham博士とJamal博士がエチオピア各地から持参したコムギ病組織(葉、茎、穂、籾)からFusarium sp.だけに留まらず、Phoma属、BipolarisあるいはAlternaria属に属する分離株計780株を分離に成功していた。それらからは、数%の確率でウイルスゲノム由来と考えられるdsRNAが検出された。Mwathi博士はJamal博士とその中の1菌株から検出されるdsRNAの解析に携わった。まずdsRNAを精製し、cDNA化、配列解析を進めた。全ゲノム配列の決定には至らなかったが、部分配列の決定に成功し、新規ウイルスのゲノムと推定された。今後、全ゲノムの配列を決定し、その生物学的性状も調べる必要がある。

Janeさん写真